2021年5月30日

内田百
『追懐の筆』
(中公文庫)

1971年(昭和46年)4月20日、81歳で亡くなった内田百閨B没後50年にちなんで、追悼文集「追懐の筆」を読んでみました。最初に掲載されているのが「漱石先生臨終記」。夏目漱石の門下生で、漱石の家に若手の文学者や弟子が集う「木曜会」にも参加していた百閨Bいかに師である夏目漱石を尊敬していたかが伝わる随筆で、そのエピソードをとおしてあらたな夏目漱石の姿も知ることができます。また親友である宮城道雄の死を綴った追悼文も心に強く残る作品。ひとりの人間をこれほどまでに哀悼することができるのか・・百閧ェ持っていた人間関係の濃さが伝わってきます。読む作品によって様々な魅力を感じる内田百閨Bこれからも読み続けていきたい作家です。

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