2021年4月4日

『ワーズワス詩集』(岩波文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

18世紀から19世紀にかけて作品を発表したワーズワス。今までのスタイルや形式にこだわらず、自由な発想で心の感じるまま表現していこうという「イギリス・ロマン主義」を代表する詩人です。その感性を育んだのは、生まれ育ったイングランド北西部に位置する湖水地方の豊かな自然。しかし彼の詩はただ自然の豊かさを讃美するのではなく、その中であらたな試みもおこなっています。それまでの詩の題材として考えられていなかった「田舎の人々の素朴な暮らし」や「彼らがつかっている言葉遣い」を使用しながら、喜びや悲哀、苦しみを表現したと言われていて、「茨」という詩でもそのことを感じます。

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