心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
今回取り上げたのは、岩波文庫の「石垣りん詩集」。代表作はもちろん、手書きの原稿としてのみ遺された未発表の詩まで120篇が収められています。その紹介文にはこんな言葉が掲載されています。「家と職場、生活と仕事の描写のうちに根源的なものを凝視する力強い詩を書きつづけ、戦後の女性詩をリードした詩人」。この文章が表すように、石垣りんさんは、昭和9年、14歳の時に日本興行銀行に事務見習いとして就職。その後55歳で定年退職するまで、働きながら詩を発表していきました。第一詩集の表題作「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」は、女性だからこそ生み出すことができた作品です。
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