2020年10月11日

『八木重吉詩画集』(童話屋の詩文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今から122年前の明治31年、現在の町田市に生まれた八木重吉。22歳の頃から詩を書きはじめますが、その1年ほど前から病に苦しんでいます。21歳の時にスペイン風邪にかかり肺炎を併発。一時重体に陥ります。24歳の時には肋膜炎になり、大正15年28歳の時に「結核第二期」と診断され神奈川県茅ヶ崎のサナトリウム「南湖院」に入り、その1年後、29歳という若さで亡くなっています。生前残した詩は2000篇以上。その中には「かなしみ」を詠ったものも多くありますが、不思議とどの作品にも淡い光が宿っています。また自分の娘の様子を描いた詩「おどろきの」や「花」には、家庭人として幸せな時間を持ったことも感じられます。

...続きを読む