2020年02月02日 | |||
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大正11年、18歳の頃から5年にわたって日記ふうの雑記帳を書きためていた林芙美子。その中から、雑誌に発表するのにふさわしいと思ったものを任意に抜き出し、それをもとに書いていった小説「放浪記」。その雑誌の連載が人気になったことから1冊の本にまとめて出版。そのためこの作品は、時系列をおっているのではなく、独立したエピソードが並んでいるパッチワークのようなつくりになっています。そのエピソードの断片をつなぎあわせると見えてくる主人公の人生。そこには放浪し続ける苦しい生活の中でも、生き生きとエネルギッシュに前を向き続ける姿がありました。そして常に傍らにあったのは文学。「古里を持たない」と書いた林芙美子の唯一の古里が、文学だったことも伝わってきます。 |