心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
作家・阿部昭というと、短編小説「自転車」や「三月の風」などが高校の教科書に掲載されているので、作品を読んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?今年は没後30年。「天使が見たもの」という短編集が出版され、今回はその中から表題作を味わってみました。主人公の少年は、病気がちな母親と二人暮らし。放課後になると校舎のはずれにある鳥小屋の前で時間をつぶしてから家に帰ります。友達もなく、母親もパートに出ているためひとりきり。少年の孤独な心と母親への想いが描かれていきます。そしてある日、学校が終わって家に戻ってみると、母親が朝のパジャマ姿のまま亡くなっていました。
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