心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
「ごん狐」や「手袋を買いに」などの童話で知られる児童文学作家、新美南吉。22歳の時にはおよそ30編の幼年童話を創作しています。幼年童話とは、幼年期の子供たちのための童話。その代表作が「でんでんむしのかなしみ」です。自分の殻の中には、悲しみが詰まっている、と感じた1匹のでんでんむしが、どうしたらいいかと友達に相談するという話。するとどの友達も「私の背中にも悲しみがいっぱい」と告げるのです。そしてでんでんむしはこう考えます。「悲しみは誰でも持っているものなので、悲しみをこらえなければならない」。短い物語の中に人生の本質をすくい上げた1編。大人のための童話とも言える作品です。
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