2019年04月21日

トラヴァース
『帰ってきたメアリー・ポピンズ』

(岩波少年文庫)

「帰ってきたメアリー・ポピンズ」の中で、心に残る言葉のひとつが「あなたが本当だと思えば、本当だということ」。猪熊葉子さんの解説によると、ケルト民族の両親を持つ作者トラヴァースは、伝承文学のなかに存在する驚異に満ちた世界があることを伝えたいと考えていました。しかし近代社会は科学の急速な進歩とともに、目に見える現実世界が絶対的価値を持つようになっていきます。そんな時代の中で、どうすれば「目に見えない世界」の素晴らしさを伝えることができるのか?そこで登場したのがメアリー・ポピンズ。時間や空間を超越し、動物とも話ができる彼女が、「目には見えなくても本当のことがある」ということを、物語をとおして教えてくれます。

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