2019年03月10日

多和田葉子
『献灯使』
(講談社文庫)

多和田葉子さんの「献灯使」は、昨年の11月にアメリカの文学賞「全米図書賞」の翻訳文学部門受賞作です。翻訳を手掛けられたのはマーガレット満谷さん。1970年代後半から日本で暮らし、大江健三郎さんの「人生の親戚」、角田光代さんの「八日目の蝉」なども翻訳されています。「献灯使」という題名を「The Emissary(使者)」と訳し、また本文を読むと、マーガレット満谷さんの様々な工夫を感じます。たとえば「蓼」という漢字を伝えるために、スラッシュがたくさんある文字だとわかるように「all its diagonal slashes」と解説しています。様々な国の人たちに日本文学の魅力を伝えることができるのは、素晴らしい翻訳家がいるからこそだと思います。

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