2019年02月17日

ジョン・スタインベック
『怒りの葡萄(上)』第一週
(ハヤカワepi文庫)

物語の主人公トム・ジョードとその家族は、老ぼれの改造トラックに家財を積み込んで仕事のある新天地を求めて出発します。目指すは西海岸のカリフォルニア。しかしその旅は過酷なものでした。途中、祖父母は亡くなり、西に行っても条件のいい仕事は見つかりません。しかし読者が物語の先を読み進めていきたくなるのは、素朴な愛情で結ばれているジョード家の優しさと強さが描かれているから。さらに当時の社会状況や農民たちの苦悩が客観的に綴られている章もあり、1930年代のアメリカの様子を知ることもできます。人間に寄り添いながら、社会問題も鋭く描いたスケールの大きな作品「怒りの葡萄」。一度は読みたい名作のひとつです。

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