2019年01月27日

ナタリア・ギンズブルグ
『ある家族の会話』
(白水Uブックス)

作者によるまえがきには「この本に出てくる場所、出来事、人物はすべて現実に存在したものである」と書かれてあります。物語の語り手は「ナタリア」という5人兄弟の末娘。つまりナタリア・ギンズブルグが自分を語り手として登場させ、事実をそのまま記した作品です。自分の家族を語ることで、1920年代から50年代までのイタリアが浮き彫りになってくる。ファシズム、戦争、ユダヤ人迫害、そして戦後。その中で人々はどう生きぬいていったのか?この小説の中には、この時代を生きた人々の様々な声が再現されています。小説に綴られている家族の記憶。それはこれからも決して忘れてはいけない重要な歴史でもあるのです。

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