2019年01月20日

ユベール・マンガレリ
『おわりの雪』
(白水Uブックス)

病気の父親と何か秘密を持っている母親の3人で暮らす少年。家は貧しく、父親の年金と少年の稼ぎの半分で生計を立てています。少年の仕事は養老院でお年寄りの散歩の手助けをすること。その仕事の合間に、養老院の管理人であるボルグマンという人物とお茶を飲みながら過ごします。ある日、そのボルグマンの妹が厄介払いしたいという子猫を連れてやってきます。頼まれた少年は、はじめ断ったものの結局引き受けることに・・・。トビを手に入れる代わりに、埋めることの出来ない心の空洞と傷を持つようになる少年。「おわりの雪」という小説の題名は、子供時代の終わりを表すような透き通った悲しみが込められています。

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