2018年12月9日

『仮名手本忠臣蔵』(松井今朝子訳)
(池澤夏樹=個人編集日本文学全集/河出書房新社)

今回の「仮名手本忠臣蔵」は、作家の松井今朝子さんの現代語訳で味わってみました。時代小説を数多く手掛け、歌舞伎の舞台制作にも携わっている松井さんの現代語訳は絶妙。舞台作品の魅力が文学としてイキイキと伝わってきます。「タイトルで‘忠臣’を謳いながら、ドラマ全体は忠義よりむしろ三組の男女の恋愛をモチーフに展開するところが、当時の庶民感情に強くフィットしたことも窺えます」と松井さんの解説にあるように、「塩谷判官」の家臣「早野勘平」とその恋人「お軽」、大星由良之助の息子「力弥」と加古川本蔵国行の娘「小浪」などサイドストーリーも充実している「仮名手本忠臣蔵」。歌舞伎の舞台を観るのはもちろん、文学として味わってみるのもおすすめです。

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