2018年9月16日

若竹千佐子
『おらおらでひとりいぐも』
(河出書房新社)

「おらおらでひとりいぐも」で芥川賞を受賞された若竹千佐子さん。「人にはそれ抜きにして自分を語れない決定的な‘時’があるのだと思う。私の場合、夫の死だった」という受賞のことばを綴られています。悲しく絶望しかなかった中で、喜んでいる自分の心も見つけてしまったとか。悲しみは悲しみだけでなく、そこに豊穣があることにも気づき、その想いを小説にしたのが「おらおらでひとりいぐも」です。ご主人が亡くなったあと小説講座に通い、この作品でデビューし芥川賞を受賞された若竹さん。その時、63歳だったそうです。読者が自分の人生や置かれている状況とも重ね合わせてしまう小説。そしてこの作品の中から新しい人生の哲学を見つけることもできるのではないでしょうか?

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