2018年8月26日

城山三郎
『官僚たちの夏』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1975年に発表された城山三郎さんの小説「官僚たちの夏」。1960年代に高度経済成長を推し進めた通産省(現在の経済産業省)の官僚たちの姿を描いた作品です。主人公は風越信吾という人物。バイタリティにあふれ、広い視野を持つ大臣官房秘書課長。あたりさわりのない人事を嫌い、若い役人たちには常に「おれたちは国家に雇われている。大臣に雇われているわけじゃない」と伝えています。この他、スロースターターではあるがアイデアマンの庭野。理論家でパリ勤務を希望している牧。秀才中の秀才でありテニスを楽しむ余裕も持つ片山など個性豊かな登場人物。高度経済成長の時代の中で彼らはどんな道をたどっていくのでしょうか?

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