心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
台湾出身で9歳の時に日本に移った作家の東山彰良さん。2015年には、自分のルーツである台湾を舞台にした小説「流」で直木賞を受賞されました。今回取り上げた「僕が殺した人と僕を殺した人」も同じように「台湾」を描いた小説。題名も印象的なこの作品は織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞に輝いています。ところが「台湾」と言っても、最初の舞台は2015年のアメリカ。11歳のデューイ・コナーズという少年が一人暮らしで足の不自由な祖母のためにピザを買いに来る場面から始まります。そこでサックマンと呼ばれる東洋人と出会うのですが、その男はなんとすでに7人の少年を手にかけた殺人犯だったのです。
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