2018年4月15日

川端康成
『みずうみ』
(新潮文庫)

主人公である桃井銀平は、かつて高校の教師をしていました。はじめて女性のあとをつけたのはその頃のこと。自分の教え子だった玉木久子のあとをつけ、その後二人は関係を持ち、銀平は教職を追われることになります。その後も見知らぬ女性のあとをつけたり、美しい少女にひかれたり、初恋の相手であるいとこのことが綴られていたり様々なエピソードが盛り込まれている「みずうみ」。現実と幻想と妄想が、主人公の意識の流れのままに描かれています。作家の中村真一郎氏は川端康成について「氏の姿は定着したと思うと、またたちまち崩れて、別の方向に美しい渦を作る」と書いています。予想を超えたところにあるという部分が川端康成の魅力のひとつなのかもしれません。

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