2018年3月25日

義経千本桜(いしいしんじ訳)
(池澤夏樹=個人編集日本文学全集)

義経の京都の住まい「堀川御所」で宴が開かれている時、鎌倉からの使者がやってきます。平家の武将の首が偽物だったと告げ、謀反を企てているのではないかと問いただします。義経は鎌倉方と敵対するのを避けて都を退き、船で九州を目指します。この時、立ち寄った船問屋の主人である銀平。実は死んだはずの平知盛だったのです。船問屋になって義経に復讐する機会を狙っていました。様々な人物が関わるスケールの大きな作品。しかしあらためて読んでみると「千本桜」と言っても満開の桜の場面は出てきません。昔から人気だった義経と千本桜を組み合わせた見事な題名。江戸時代の浄瑠璃作者が、いかに大衆が求めているものを知っていたかがわかります。

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