2018年3月18日

ルナール
『博物誌』
 (岩波文庫)

子供の頃に親しんできた田園の動物。結婚後、家族で過ごした別荘の自然、その中で出会った生き物たち。「犬」も「あひる」も「七面鳥」もルナールの手にかかるとイキイキと時にコミカルに、時に切なく表現されます。「博物誌」の中には動物の死を扱ったものも多く、娘が飼っていた犬について綴られた「デデーシュの死」、牛の最期を記した「ブリュネットの死」も印象的です。死はルナールにとって常に身近にあるものでした。父親はルナールが33歳の時に自ら命を絶ち、その後、兄も母もなくなり、ルナール自身も病のため46歳で亡くなっています。彼が亡くなる1年前に発表されたのが「デデーシュの死」だと知ると、この内容はさらに深く響いてきます。

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