2017年11月26日

笹沢佐保
『赦免花は散った』
 (宝島社文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1970年代、テレビで放送され大人気だった時代劇「木枯し紋次郎」。主演の中村敦夫さんが長い楊枝をくわえ、それを吹いた時に木枯しのような音がすることから「木枯し紋次郎」と呼ばれていました。その原作が笹沢左保さんの時代小説。シリーズがスタートしたのが1971年で、記念すべき第1作が「赦免花は散った」という物語です。舞台は江戸時代の三宅島。絶海の孤島に罪を犯した者たちが連れてこられていました。流人がもし島抜けをしようとすれば死罪という厳しい島。なんとこの場所に「木枯し紋次郎」がいたのです。兄弟分の仲である左文治という男が殺人を犯し、その身代わりに島送りになったのです。

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