2017年10月1日
萩原朔太郎
『月に吠える』
 (ハルキ文庫)

今年は10月4日が「中秋の名月」。月を見上げながら萩原朔太郎の詩「見知らぬ犬」や「悲しい月夜」「白い月」を味わってみるのもいいものです。「月のことなら萩原朔太郎に聞け」とキャッチフレーズを付けたいと小川洋子さんが言うように、月にちなんだ名詩を残しています。では100年前、萩原朔太郎はどんな想いで月を見上げ、それを詩に託したのか?そのことは、詩集「月に吠える」の序文でも伝わってきます。「月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである」「私は私自身の陰鬱な影を、月夜の地上に釘付けにしてしまいたい。影が永久に私のあとを追って来ないように」。月に吠える犬の姿と自分を重ねていた萩原朔太郎。その心の震えがすべての詩から伝わってきます。

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