2017年9月17日
佐藤愛子
『戦いすんで日が暮れて』
 (講談社文庫)

作家・佐藤紅緑の次女として大正12年に大阪で生まれた佐藤愛子さん。詩人で作家、童謡の作詞でも知られるサトウハチローさんは母違いのお兄様です。昭和25年、27歳の時に同人雑誌に参加。「青い果実」という小説を発表。これが処女作となり、その後も小説を発表し続けます。そして昭和43年、45歳の時に出したのが「戦いすんで日が暮れて」。実はこの作品は作者の実体験。渦巻く倒産劇の中で見聞きすることをいつか大傑作として書こうと思っていたそうですが、当時50枚の小説の依頼がありお金が欲しくてひきうけたとか。完成した作品にはなぜかユーモアがあり、そのユーモアにリアリティがあります。その作風は、今ベストセラーとなっているエッセイ集「九十歳。何がめでたい」にも通じているのではないでしょうか?

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