2017年8月20日

河合雅雄
『少年動物誌』
 (福音館文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

京都大学霊長類研究所や日本モンキーセンターの所長などをつとめ、50年にわたるサル学の研究で知られる河合雅雄さん。今回取り上げた「少年動物誌」は、モンキー博士と呼ばれる河合雅雄さんが自分の少年時代を綴ったエッセイ集。兵庫県・丹波篠山の大自然を舞台に様々な生き物たちとのふれあいが描かれています。最初に掲載されている「モル氏」という題名のエッセイは、夜店で買ったモルモットを弟の道男さんと育てる話。住む家を作り、餌を集め丁寧に育てた「モル氏」は、3年でなんと70匹にも増え小屋の中は大混雑。河合兄弟にとって「モル氏」が重荷に感じたり、しかし自分たちでなんとかしなければと思ったり、少年たちの心は揺れていきます。

...続きを読む