2017年7月16日
池澤夏樹
『静かな大地』
 (朝日文庫)

今回取り上げたのは池澤夏樹さんの長編小説「静かな大地」。明治のはじめ、淡路島から北海道の静内(現在の新ひだか町)に入植した三郎と志郎という兄弟の生き様。そしてアイヌの人たちとの結びつきを描いたスケールの大きな作品です。この物語は池澤夏樹さんのひいおじい様とそのお兄様がモデルになっていて、一族の開拓時代の物語を聞いて育った池澤さんがいつか小説にしたいと思っていたそうです。アイヌには「アイヌモシリ(人間の静かな大地)」という言葉があり北海道を意味しています。この静かな大地でアイヌ民族と和人がどうやって共に生きていけるのか。100年前の人たちの生きる姿は、私たちにどんなことを教えてくれているのでしょうか?

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