2016年9月25日
町田康
『夫婦茶碗』
 (新潮文庫)

「夫婦茶碗」の主人公「わたし」は、お金がないから働くことを考え、思いついたのが他人の茶碗を洗うという「ちゃわおっしゃー」。しかしそんな仕事は成り立つ訳もなく、やっとはじめたのが住宅の内装・修理の仕事。これも毎日ペンキを塗る生活に嫌気がさしてやめてしまいます。そして思いついたのがメルヘン作家になるということ。とにかくああでもない、こうでもないと考え続け、妄想する主人公。この小説について、作家の筒井康隆さんは解説で「知的な思考実験の最たるもの」と書かれています。町田康さんの頭の中にあふれている言葉の沼にはまっていくように、読めば読むほど抜け出せない小説の世界。町田ワールドを未だ体験したことがない方、いかがでしょうか?

...前に戻る