2016年9月18日
串田孫一『緑の色鉛筆』
 (平凡社STANDARD BOOKS)

複数の顔を持ち、2005年に89歳で亡くなるまで自由な執筆活動を続けられた串田孫一さん。「緑の色鉛筆」は、40代から80代までの貴重な文章が収められているエッセイ集です。49歳で発表した「分解掃除」というエッセイでは、生活の細かいところに喜びを見出す串田さんの姿が浮かんできます。また78歳の時に書かれた「二十七歳」という文章には、戦時中の状況、そしてそのことを今に伝える意味が感じられます。哲学者でもある串田孫一さんの文章は時に難しくもありますが、しかし考えることの大切さ、知ることの喜びを感じさせてくれるもの。人生や生きること、平和を深く考えた先輩からのメッセージでもあります。

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