2016年8月21日 | |||
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「命売ります」と広告を出したことから、「羽仁男」のもとに様々な依頼人が訪れます。若い妻と一緒に殺されて欲しいと言う老人。母親の愛人になってもらいたいと頼む少年。実はその母親は吸血鬼だったのです。その都度「羽仁男」は依頼を引き受けますが、なかなか死ねず、相手ばかりがこの世を去ってしまうのです。自分の命にこだわらず、無意味に生きようとすればするほど、その反対に生きるとは何かを考えさせられる「命売ります」。日本文学研究者のドナルド・キーンさんが「彼は天才だった」と認める三島由紀夫の怪作です。しかしこの小説が連載されてから2年後、三島由紀夫は45歳という若さで自ら命をたっています。 |