2016年1月24日
藤沢周平
『海鳴り』第二週
 (文春文庫)

「海鳴り」を読むと、江戸時代がとても身近に感じられます。それだけ現代社会と共通する部分が多く描かれているからです。仕事や家庭の悩み、子供の教育、老いへの不安、そして年齢に関係なく人を愛する気持ち。時代は違っても、読者は自分が抱えている悩みや苦しみと重ねあわせて読むことができるのです。またどの登場人物の姿も丁寧に描かれているので、脇役の心情も伝わってきます。1982年の夏から1年間、新聞に連載されていた「海鳴り」。作者である藤沢周平さんは新兵衛とおこうに情が移り、最終的にむごいことは書きたくなかったと感じたとか。さて二人の未来はどうなっていくのか。読み応えのある長編小説です。

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