2016年1月3日
渡辺淳一
『花埋み』
 (新潮文庫)

治療のため病院で診てもらうことになる「ぎん」。しかし異性に診察される恥ずかしさから「死んだも同じことだ」と感じてしまいます。この出来事がその後の「ぎん」の人生に大きな影響を与えました。入院している間に考えた末、自分のような女性を救いたいとお医者さんになる決心をするのです。その後の道は険しいものでしたが、明治17年、政府に認められた女医第一号となりました。この小説は、作家であると同時にお医者様でもある渡辺淳一さんだからこそ書けた作品。また主人公の「ぎん」に対して尊敬の気持ちを持ち続けて書かれています。2014年に80歳で亡くなった渡辺淳一さん。残された作品は数多く今後も読んでいきたいと思います。

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