心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
「メロディアス・ライブラリー」へのリクエストで今年最も多かったのは、又吉直樹さんの小説「火花」です。7月に第153回芥川賞を受賞した作品。芥川賞の選考委員である小川洋子さんがこの作品についてどんなふうに語るのか、リスナーの方たちはとても興味を持って下さいました。物語のはじまりは、熱海の花火大会の場面。物語の主人公である「僕」は、お笑いコンビ「スパークス」の徳永という人物。彼は歩いていく人達に向けて相方と漫才を披露しています。この書き出しから密度が濃く、読者は知らず知らずのうちに小説の世界にひきこまれてしまいます。そしてこの会場で、「僕」が出会うのが先輩芸人である神谷という男。まるで一目惚れのように「僕」は神谷にひかれていきます。
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