2015年11月22日

尾崎翠
『第七官界彷徨』
 (ちくま文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

昭和のはじめに活躍した女流作家・尾崎翠。その代表作が「第七官界彷徨」です。人間が持っている感覚が「五感」。それを超える直感のようなものが「第六感」。さらにそれを超えるものが「第七感(官)」です。つまり「第七官」の世界をさまようという意味で、人が今まで行ったことのない感覚の奥の奥まで行ってみようという独自の世界が描かれています。主人公は小野町子という女性。変な家庭の一員として過ごし、そこに住み込んで炊事係をしています。彼女の望みは、人間の第七官に響くような詩を書いて分厚いノートに書き溜めるということ。不思議な同居人たちと町子との第七官に踏み込んだ怪しい世界が描かれています。

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