2015年10月11日

『山頭火句集』
 (ちくま文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

五七五という音数や季語に縛られず自由に詠む「自由律俳句」。その代表的な俳人が尾崎放哉と種田山頭火です。山頭火は尾崎放哉よりも3つ年上の明治15年生まれ。43歳で出家の道を選び、その後、身ひとつで放浪の旅を続けながら俳句を詠みました。代表作が「分け入っても分け入っても青い山」と「うしろすがたのしぐれてゆくか」。山頭火のつぶやきの中に彼が歩んだ果てしない人生の旅を感じます。「自由律俳句」を味わう時には、私たちも自由に自分の好きな俳句を選んでみるのがいいのでは。小川洋子さんの選んだ山頭火の句のひとつが「しぐるるや死なないでゐる」。生きているでも死んでいるでもないギリギリの想いが見えてきます。

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