心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

9月の新学期にあわせて選んだのは小林秀雄の随筆「真贋」。学校の教科書に掲載されることも多い作品で、藤丸由華さんの想い出の随筆でもあります。「真贋」とは「本物か偽物か」という意味。この随筆にはまず良寛が書いたとされる「詩軸」が出てきます。その「詩軸」を得意になって掛けていたところ、歌人で良寛の研究家でもある吉野秀雄氏から「良寛はこんな字を書かない」と言われてしまい、刀でバラバラにしてしまうのです。小林秀雄というと難しい文章でも知られ、知性のかたまりのような作家。しかし彼のような人物でも偽物をつかまされてしまうことがあるのかと思うエピソードがさまざま綴られています。

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