心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
「錦繍」「骸骨ビルの庭」に続いて、宮本輝さんの作品を取り上げるのは3度目。今回は、1978年に芥川賞を受賞した「螢川」です。昭和37年の富山を舞台に、主人公の少年・竜夫が家庭や恋、友人との関係など様々な状況の中で生きる姿が描かれています。特に印象的なのは蛍が舞う最後のシーン。明るいだけではないけれど新しい未来が開けようとしていることを暗示するラストです。さらに今回は「螢川」よりも1年早く発表された宮本輝さんのデビュー作「泥の河」も味わってみました。この小説は8歳の少年・信雄が主人公です。
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