2014年09月07日
中沢けい
『海を感じる時』
 (講談社文芸文庫)

メロディアス・ライブラリーでは、5年前に中沢けいさんの「楽隊のうさぎ」という小説を取り上げました。その時、小川さんが感じたこの作品の魅力は、人間の心の変化が丁寧に描かれているということでした。そして今回の「海を感じる時」にも共通の魅力があるそうです。主人公の恵美子と高校の先輩である洋とのデリケートな関係や母親との複雑なつながり。さらに恵美子の肉体感覚が鋭く描写されています。「海を感じる時」から10年後の1988年、小川洋子さんも「揚羽蝶が壊れる時」で作家としてデビューされます。現在では、小川さんにとって中沢けいさんは、頼れるお姉さんのような存在だそうです。

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