2014年04月27日
『グリム童話集(上)』
 (岩波少年文庫)

臨床心理学者の河合隼雄さんは「昔話の内容と現代人の心(性)は強く結びついている」と分析されています。「いばら姫」は15歳の時に百年の眠りにつきますが、この15歳という年齢は思春期に達したことを意味していて、そこに登場する悪い仙女は母性の否定のあらわれ。母親から早く離れたいという気持ちが表現されているそうです。また「オオカミと七匹の子ヤギ」や「赤ずきん」ではオオカミは殺されますが、河合隼雄さんによると、昔話の殺しは文字通りの殺人ではない。子供たちが昔話を聴いてもそれほど怖がったりしないのは、心の奥深くでそれを感じ取っているからだそうです。あらたな発見の多いグリム童話。よく知っているお話もあらためて本で読んでみると面白いものです。

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