2014年03月16日
萩原朔太郎
『郷愁の詩人 与謝蕪村』
 (岩波文庫)

萩原朔太郎は、松尾芭蕉と与謝蕪村を比較して、芭蕉は「老」蕪村は「若い」と分析しています。実際に蕪村の俳句には華やかな色彩があり、春と夏に名句が多いと感じます。ちなみに蕪村は、芭蕉が亡くなって22年後に生まれていて、蕪村は芭蕉を尊敬していました。画家としても活躍していた蕪村が描いた芭蕉の絵も残されているほどです。また蕪村は詩も試作。「君あしたに去りぬ ゆうべの心千々に何ぞ遥かなる」。これが江戸時代に作られたことを萩原朔太郎も驚くほど。その瑞々しい精神に対して「明治の若い新体詩人の作だと言っても、人は決して怪しまないだろう」と書いています。江戸時代を身近に感じさせてくれる与謝蕪村。豊かな感性は時代を越えて人の心に響くことを教えてくれます。

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