2013年05月26日
『百人一首』
 (角川ソフィア文庫 ビギナーズ・クラシックス)

「百人一首」と言うと、お正月に楽しまれる方もいらっしゃるでしょう。カルタとしての「百人一首」の楽しさは、声に出した時の音の響き。しかし今回、あらためてひとつひとつの和歌をじっくり味わってみると、込められたものの奥深さに気づきます。「百人一首」で最も有名だと言われる小野小町の和歌。「花の色はうつりにけりな」ではじまるこの歌は、目に見えるものと見えないもの、二つを組み合わせながら胸の想いを伝えています。「百人一首を味わって、あらためて日本語の豊かさを感じた」と小川洋子さん。万葉の時代から奈良、平安、鎌倉と時代を越えて選ばれた和歌の数々。これほど贅沢でスケールの大きなアンソロジーは他にはないと思います。

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