2013年04月14日
アンドレア・バレット
『地図に仕える者たち』
 (DHC)

アンドレア・バレットの小説が6篇おさめられている「地図に仕える者たち」。この本の帯には「科学と愛をめぐる美しき博物誌」という言葉が添えられていて、実際にどれも科学的な探究心を感じる作品ばかり。というのも作者であるバレット自身が、科学的思考の持ち主だからです。もともと生物学を専攻し博士課程へ進んだそうですが、やがて自分の道が科学研究でないことを悟り、研究者になることを断念。本当に関心があったのは古文書などの書物を通じて探究する博物学だったそうです。バレットの作品が論理的な部分を持ちながら心のしなやかさをも描き出しているのは、彼女が生まれながらに持っている感性からくるのかもしれません。

...前に戻る