2012年06月03日
梨木香歩
『渡りの足跡』
 (新潮社)

4年前に取り上げた小説「家守綺譚」も、今回の「渡りの足跡」も小川洋子さんのおすすめの作品。「梨木香歩さんの作品には、根底に自然に対する深い知識と愛情がある」と小川さん。特に今回取り上げた「渡りの足跡」には、鳥の渡りを通して哲学的なものを感じたそうです。鳥について考察するうちに人間のことも考えてしまったとか。梨木香歩さん自身もインタビューで「渡る、移動する、旅をする、という意識をもうちょっと深く考え進めると、今、世界に沈殿している澱のようなものを解消するヒントが見つかる気がする」と語られています。自然環境や生き物たちの中に、生きるお手本があるのでは・・そんなことを教えてくれる梨木香歩さんの作品です。

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