2012年05月13日
石川啄木
『一握の砂』
 (新潮文庫など)

貧しい中で文学を志した石川啄木。しかし彼にはどんな時にも支えてくれる心強い味方がいました。同じ中学の先輩で、のちに言語学者として活躍する金田一京助です。出版社を紹介したり、お金を貸したり、生涯かわらぬ友情で啄木を支え、今回、取り上げた新潮文庫の「一握の砂」にも、金田一先生による解説が載っています。「啄木は凡そ自暴自棄にはならなかった。自己に忠実だったこと、われわれ側で見ていて感心させられた。」この言葉を読んでも、いかに彼が啄木のよき理解者だったかがわかります。そして啄木もそのことを感じていたのでしょう。歌集「一握の砂」を二人の人物に捧げていますが、その一人が金田一京助です。

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