2012年03月11日
『名作童謡 野口雨情 100選』
上田信道 編
 (春陽堂)

野口雨情の代表作「七つの子」を聴いて、小川洋子さんは子供の頃の自分を思い出したそうです。童謡は写真と同じ。自分の心の中に大切にしまってあった記憶を蘇らせる力を持っています。特に野口雨情は、言葉による音楽的響きを大切にしていました。繰り返し同じ言葉が出てくるのもその表れ。だからこそ誰の心の中にも深く残っていくのです。「東日本大震災」から1年。苦しい日々を過ごしている時に、童謡が人の心に与えてくれるものは何なのか?災害でふるさとがなくなったとしても、心にしまったものは失われない。そんなことを教えてくれる童謡。懐かしい歌は、日本人の心のふるさとでもあるのです。

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