2011年11月13日
アゴタ・クリストフ『悪童日記』
 (ハヤカワepi文庫)

ハンガリー生まれのアゴタ・クリストフは、「悪童日記」の主人公のように、子供の頃に第二次世界大戦を体験。その後、1956年のハンガリー動乱の時、子供を抱えてスイスに渡りました。そのためつかう言語も変えなければならなかったとか。子供の頃はハンガリー語。その後、疎開先ではドイツ語、戦後はロシア語を学ばされ、そして最終的にフランス語圏であるスイスへ亡命。「悪童日記」もフランス語で書かれた小説です。「母国語を失うことは魂を失うことに等しい」と小川洋子さん。しかし過酷な日々の中で、アゴタ・クリストフの心の支えになったものはなんだったのか。小説を書くという自由の中で、魂を取り戻すことができたのかもしれません。

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