2011年11月06日
曲亭馬琴『南総里見八犬伝』
 (角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシックス)

「アイデアが面白く、テレビがなかった時代なのにとても映像的」と小川洋子さんも絶賛の「南総里見八犬伝」。この大長編小説を、曲亭馬琴は28年にもわたって書き続けたそうです。年齢にして47歳から75歳。人生の後半でありながら、これほどまでにパワフルな作品を書いたことにも驚きです。そしていよいよ物語のクライマックス、「八犬士たち」が揃う場面では、馬琴自身も物語の中に登場。作者の素顔がチラッと見えて、馬琴に対しても親近感がわいてきます。ちなみに江戸時代でありながら、「八犬伝」の読者は数万人に及んだと推察され、馬琴はほぼ原稿料のみで生計をたてることが出来た日本初の職業作家だそうです。

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