2011年09月04日
鴨長明『方丈記』
 (角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシックス)

「方丈記」の作者・鴨長明は、京都下鴨神社の宮司を務めた人物の次男として生まれました。しかし当時、平家の力が強くなり、政権が貴族から武家へ。鴨長明は、急速にたそがれていく王朝貴族の一員。さらに18歳の時に、父親が病死したため、跡目争いにも敗れたそうです。まさに彼の人生そのものが無常だったのではないでしょうか?また当時、京の町には様々な災害が起こりました。大火災、竜巻、大飢饉、そして平安京を崩壊させた大地震。それを体験した鴨長明は、郊外の日野山に移り住み「方丈の庵」を建てたのです。来年で完成800年を迎える「方丈記」。災害の中から鴨長明はどんな想いを導き出したのか。今、あらためて読む意味も大きい古典文学です。

...前に戻る