2010年09月05日
志賀直哉『小僧の神様』 (角川文庫)
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治に生まれ、大正・昭和に活躍した文豪・志賀直哉。彼が大正9年に発表した短編小説「小僧の神様」。物語の主人公は、神田の秤屋で小僧として働く仙吉という少年です。彼は、店の番頭たちが話していたトロの鮨を1度は食べてみたいと思い、ある日、使いの帰りに電車賃を節約して鮨屋に入ってみることにします。しかしお金が足りず、恥をかいて店を出てくることに・・・。それを見ていた貴族院議員の男Aは、のちに秤屋で仙吉を見つけ、鮨をごちそうするのですが・・・というお話。この作品の文章があまりに簡潔で、一字一句動かすことができないことから、志賀直哉は「小説の神様」と呼ばれるようになりました。

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