2008年9月28日
辺見庸『もの食う人びと』

「もの食う人びと」が出版されたのは1994年5月。しかし今あらためて読むことに大きな意味がある1冊です。この14年、日本や世界の状況は大きく変わっています。その頃、日本はバブルがはじけたあと。飽食の時代が終わり、そのことを自重するようになった頃でした。現在は、食品偽装や自給率が問われ、日本そのものの食の未来を真剣に考える時がきています。辺見庸さんはすでに14年前、こんな言葉を残されています。「飽食の時代が、あたかもそのつけが回ってくるように、空腹の時代に転じるのは、そう果てしなく遠い先のことでもないのではないか。」この言葉にリアリティを感じる今だからこそ読みたい1冊です。

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