心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
スタジオジブリ制作のアニメーション映画で知られ、7月には実写による映画も公開された「火垂るの墓」。その原作が、野坂昭如さんの直木賞受賞作「火垂るの墓」(新潮社 / 新潮文庫)です。物語の舞台は、第二次世界大戦の末期から終戦直後。当時、兵庫県の神戸を襲った大空襲で、母も家も失ってしまった兄の清太と妹の節子。14歳と4歳という幼い二人は、終戦当時の混乱の中、必死に生きていこうと頑張ります。この物語は、野坂さんの実体験によるもの。戦後、栄養失調のため妹さんを疎開先でなくされた野坂さん。その妹さんへの辛い想いが文学という形となり、多くの人に今も読み継がれているのです。
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