2008年2月17日
武田百合子 『富士日記』

「富士日記」は上・中・下と3巻にわたっていますが、昭和46年以降の日記には夫・武田泰淳さんの病気のことがよく出てきます。糖尿病が原因の脳血栓症を患った泰淳さん。しかし発病後も武田家の日常はユーモアにあふれ、変わらない時間が過ぎていきます。昭和51年に武田泰淳さんは亡くなっていますが、その時、出版社の人が百合子さんに「日記の一部を世に出したらどうか」と依頼。それがなかったらこの貴重な日記は押入れの段ボール箱に仕舞われたままになっていたそうです。日々の記録なのに文学作品として完成している。あらためて武田百合子さんの表現力の凄さにも感動してしまいます。

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