2007年12月9日 | |||
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その回想に広がるのは、犬と一緒に見に行った流氷の風景。急激な天候の変化で、まだ子供だった主人公と犬は帰れなくなってしまいます。死の淵を覗く一人と一匹。犬が主人公を救うようにしてこちらの世界に戻ってくるのです。しかしそのあと犬を待ち受けていたのは、なんとも悲しい運命。命あるものの哀しさと美しさ。読み終わったあと、言いようのない静けさが心に広がっていきます。今年71歳のアリステア・マクラウド。今までに発表したのは16の短編小説と1篇の長編小説。降り積もる雪のようにゆっくりと作り上げた作品たち。クリスマスが近づくこの季節に、心の贈り物となる1冊です。
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